ピアプロ・キャラクター・ライセンス

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クリプトン・フューチャー・メディアによるキャラクター利用のガイドライン新版が出た模様。

分量が多く独特の用語も使われていますが 初音ミク公式ブログ - クリプトン公式!「初音ミク」らバーチャル・シンガーの最新情報を発信します! にて詳細な解説

が付いているので助かります。

内容では、特に「改変物」と「二次的著作物」と「二次創作物」の違いあたりは重要なので注意。
他に注意すべき点ですが。

第2項第3号

  • (3) 利用者は、第三者知的財産権その他一切の権利を侵害してはならないものとします。

二次創作物の制作にあたっては、他者の著作物に特徴的な創作的表現を、無断で流用してはいけません。

ピアプロ・キャラクター・ライセンス解説(2条~3条) – 初音ミク公式ブログ

無断での利用は当然ながら該当著作物の作者への権利侵害なわけですが、この契約によって同時にクリプトンとの契約違反にも問われることになります。これは一般的な CGM の場での規定*1というよりも雑誌や新人賞等への投稿規定*2に準ずるもの。商品化前提での規定に見えます。

第4項

  • 4. 利用者は、当社が本ライセンスで許諾した権利を第三者に再許諾することはできないものとします。

当社キャラクターの二次創作物には、PCLは付与されません。すなわち、当社キャラクターの二次創作物については、原則としてその作者以外の方は利用することができません。

ただし、当社が運営するウェブサイト「ピアプロ」に投稿された作品については、ピアプロ利用規約および各作品に付与されたライセンス条件をお守りいただくことで、ピアプロ会員様に限りご利用することができます。

ピアプロ・キャラクター・ライセンス解説(2条~3条) – 初音ミク公式ブログ

なので、例えば pixiv に上げられた二次創作イラストを作成者当人以外が使う場合(イラスト作成者当人に許諾を取るのは当然として)別途クリプトンに許諾を取らなければ使えないことになります。

つまり再利用許諾*3する場合はピアプロにそれを上げるしか手がありません。

Q.では、「ピアプロ」にないミクの3DCGモデルデータを使うことはNGですか?
A.3DCGモデルデータも「ピアプロ」に投稿できるよう準備をいたします。

二次創作物の中には、3DCGのモデルデータのようにピアプロに投稿できないものもあります。そのため弊社では、今後3DCGモデルデータのような二次創作物もピアプロに投稿できるようにすることを考えています。その準備が終わるまでは現状どおりピアプロを通さずお使いください。

PCLに関するQ&A – 初音ミク公式ブログ

なので、つまりクリプトンはユーザー相互の UGC 再利用の場をピアプロで独占することを意図しています。
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ニコニ・コモンズを活用するべく動いている株式会社インターネットとは対称的。

あと根本的なことですが、

ガイドラインの対象となるキャラクターは、以下のものです。
MEIKO』、『KAITO』、『初音ミク』、『鏡音リン』、『鏡音レン』、『巡音ルカ

piapro(ピアプロ)|キャラクター利用のガイドライン

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なので、それに入っていない『たこルカ』

等については

E.その他

  • 2. 自ら制作したものでない当社キャラクターの二次創作物を利用することは、PCLでは原則として許諾されません。ピアプロに投稿された作品については、ピアプロ利用規約および投稿者の設定したライセンス条件を遵守することで、ピアプロ会員に限り作者以外の方がご利用することができます。
piapro(ピアプロ)|キャラクター利用のガイドライン

に従わなくてはいけないことになります。(たこルカの場合であればピアプロ会員のみ無許諾で可)*4

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但し『亜北ネル』については PCL 準拠で使える旨、作者側から宣言されていますのでOKのよう。

また、その覚書に追加する形で「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(以下PCL)」及び「キャラクター利用のガイドライン」を、「亞北ネル」に準用するとの取り決めを交わしました。
本来であれば「PCL」の第3条4項に従い、二次創作物の第三者への再許諾は「PCL」の適用範囲外となりますが、この取り決めにより「亞北ネル」を利用しても「PCL」が適用できることになりました。
つまり、「亞北ネル」は「PCL」の定義による「当社キャラクター」に“準ずる”扱いとなります。

亞北ネルの利用ガイドライン

*1:プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト

*2:例:月刊DTMマガジン投稿用アップローダ

*3:自分がクリプトンの該当キャラの二次創作物を公表するのみでなく、それを他人が使えるよう許諾すること

*4:契約上の話では、です。実際問題としては PCL に準ずる扱いで問題ないでしょうけれど。