MMDセカンドパックとMMD開発終了

MikuMikuDanceセカンドパック (100%ムックシリーズ)

MikuMikuDanceセカンドパック (100%ムックシリーズ)

セカンドパックと言いつつ、この本からMMD入門するのが現状では最良と言える良書。

収録モデルの関係もあるから

MikuMikuDanceスターターパック

MikuMikuDanceスターターパック

の方も手にいれた方がいいですが。

大量のポーズ集も収録されていますし、これからMMDしてみたい人にはお薦めです。

さてその MikuMikuDance ですが、各所で話題になっているように現在の Ver.7.39 にて開発終了とのこと。

当初のコンセプトから使われ方がずれてきてしまってましたし*1樋口Mが振ってきた新機能も、Kinect 対応はまだしも*2NVIDIA 3D Vision/Discove 対応については総スルーに近い事態。これじゃ「『俺の作るMMD』に期待してるわけじゃなくて『みんなが望むMMD』を作らされるわけか」と失望しても仕方ないかも……いや樋口Mはそういう考えの人ではないとは思いますが。

 ただ、反響がこれだけ大きかったからこそ、今までバージョンアップを繰り返してこれたというのは確かです。もともと飽きっぽい性格ですので、一つのことをこれだけ長く続けられたのは、機能を追加するとすぐにその機能を使ってくれる人達がいてくれたおかげだと思っています。
ボーカロイド現象 p087

いずれにしろ。何かしらの創始者のタイプの人は「新しいこと」をするのにこそモティベーションを持つタイプだからそれを始めたわけで。MMDみたいな既に安定した地位を占めたソフトのメンテナンスやユーザーからの要望の実装には興味持てないだろうな、というのは容易に想像できます。

当面は現状のMMDを使い続ければいいとして。Windows がバージョンアップして64ビット・メニーコアが当たり前の環境になる頃には陳腐化するでしょうが、それまでに互換環境が出ればよし、出ないとしても Blender なりに持ち込むプラグインは既にありますからデータ資産の継承には問題ありませんね。*3

「樋口MにMMDの開発に戻って欲しい」みたいな意見も聞きますが。フリーソフトなんだから他人に貢献するために作っていたわけではなく*4「作るのが楽しい」から作っていたはず。いわゆる「見る専」だけでなく動画作って公開しているような人までが、どういうわけだかツール作者に対するとそんな当たり前のことを忘れてしまう。

「作りたいものを作る」ではなく「要望されるものを作る」になってしまった段階で、フリーソフト開発は止めるべきでしょう。そして今の自分が本当に作りたいものに精力を向けるべき。

 現在は、音声変換の分野に非常に興味を持っています。まだまだ完成には時間がかかりそうですが、声質を別のものに変換するツールの開発を行なっているところです。あくまで実験段階で、公開できるほどの成果があげられるかどうかは、まったく分かりません。
 これに限らず、今後もいろいろと面白そうなことにチャレンジしていきたいと思っております。
ボーカロイド現象 p089

樋口先生の次回作にご期待ください!

……ということですね。

現状のMMDの継承発展を願う人は、樋口Mにそれを期待するのではなく、既に出来上がったフォーマットの完成度を上げるのを好む層にそれを期待するべきだと思います。つまりシェアウェア作者が互換品を競いあって作るのや、あるいは現状の商業3DソフトがMMDのデータを読み書きできるようになる事。もちろん「相当品」を作るのが好きなタイプのフリーソフト作者がそれを「作ってみる」というのも有りでしょう。そういった動きを支持する、までは行かなくとも足を引っ張らない。これが重要。

そして現在MMDのユーザーな人は。

そもそもMMDというのが自分の「ベスト」な選択なのか、ということをもう一度考えてみるべき。「MMDが流行ってるし『MikuMikuDance』タグ付けないと再生伸びないし」みたいな考えでMMD使った動画上げているならば、実際には単なる足かせにしかなっていないことになります。高機能を求めているのならば Blender という MMD とは比べ物にならないくらいメジャーでオープンソースで世界的に普及している環境がありますし、逆に手軽に出来合いのモーション使って高品位なPVを作りたいならば『Dance×Mixer』という選択もあります。作りたいのが動画でなくマンガなら『コミPo!』なんてのも。

Dance×Mixer

Dance×Mixer

コミPo!

コミPo!

自分はといえば。MME 無しでの素の MMD を使う方に行ってみようかと思っています。元々しょんぽりなスペックのノートPCでも動くあたりに魅力感じて使い始めたのに、MME 入れて 1fps にまで落ちた状態にして長時間かけて AVI 出力……初心を忘れていたよう。

カバー/自作の曲にモーション付ける分には現状の妙にスコープの狭いMMDのモーション付け画面*5でも不都合は無いですし。

そしてゆくゆくは、パソコンを次に新調する時には NVIDIA 3D Vision 対応の機種を買って、樋口Mの最後の遺産*6と言えるリアルタイム 3D 機能を試してみたいところ。さんざMMD立体視動画上げていながら、いざ MMD 本体がそれに対応した時にそれをスルーした*7のが唯一の後悔です。遅ればせながらもそれにトライしたい。とりあえず、それをしないことにはMMDを止められないと思っています。

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*1:特に MME 以後は

*2:これにしても「MMD本体に機能付けてちょっとしたモーションをその場で付ける」というより「MMDモーションキャプチャーツールとして使い修正は外部ツールで」になってしまったあたりで「MMDにそれを付ける」という意味が薄くなっちゃってますし

*3:というか高々3年程度の歴史のソフトなんですから初期からのユーザーも現役ですし、モデルやモーションの作者が別環境向けに個々にコンバートすればいいだけの話

*4:振り込めない詐欺」とか言ってる人はここらへんが根本的に分かってないんだろうな。金が欲しいなら最初から Vector なりでシェアウェア販売するって

*5:30fps 単位のスコープしか無い上に切り貼りが異様にしずらい

*6:Kinect の方は外部ツールでキャプチャできれば MMD 本体が対応している意味はあまり無いし、現状その方が便利かも

*7:そのために PC 新調する気にはなれなかった