グイン三国志
風雲への序章―グイン・サーガ〈123〉 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (58件) を見る
百二十三巻といえば、たいがいの物語は「終章」なんでしょうに、この話は「これから本編がようやくはじまるぞ」みたいなところにきているんですよね。まったく困ったものです、というか、呆れたものです。というより、たまげたことです。
(あとがき p297)
いやいやいや、そもそもたいがいの物語は123巻とか逝かないから。
本当にやっと、序章が終了というあたりが凄いよね。三国志で言えばやっと天下三分になったあたり、というか。
乱世の奸雄たるイシュトヴァーンは曹操でいいとして。グインはやはり三国志演義の主役、劉備になるのかな。でもそうなるとレムスが孫権? いやむしろヴァレリウスが周瑜でアルド・ナリスが孫策……ってレムスはこのまま――シルヴィアと同様――フェードアウトかもしれないけどね。
俺ひとりの名前なんかどうだっていいんだ。俺はそれよりも――この世がひとつに統一され、ひとりの皇帝のもとにひざまづき――そして同じひとつの理念をあおぎ、同じ幸福と同じ繁栄をともにし、もう決して誰も孤独にならない――そんな夢を見る。そうして、その世界を作り上げたのは――理想のあるべき世界を作り上げたのはほかならぬこの俺なんだ。そのことを誰も知らねえかもしれない――それでもいい。だが、俺の業績は歴史に残る――
(第四話 狂瀾の予兆 3 p265)
イシュトがカメロンへ陽気に世界制覇の野心を語っているのに対して、グインの方はハゾスの提案する(単に秘密を知ったというだけの)元シルヴィア付き女官の大量処刑に同意と。いよいよ イシュト=悪、グイン=善 という図式では収まらなくなってきましたし。これから楽しみです。