Turandot after school

放課後トゥーランドット (一迅社文庫)

放課後トゥーランドット (一迅社文庫)

トゥーランドット姫みたいなヒロインが作中でトゥーランドット姫を演じるというメタな*1音楽系部活動ものなんですが……
ぶよぶよカルテット (一迅社文庫 み 1-1)
(一迅社文庫での)前作『ぶよぶよカルテット』がちょうど同じ、過去に確執のあるヒロイン2人を音楽活動を通じて主人公がとりもつ、という構造で、これはそれのリメイクとも言えるもの*2なのですが。

『ぶよぶよカルテット』では「ステロタイプな天才」*3で済ませていたものが、今回はヒロインの性格の激烈さだけで通しています。*4

『ぶよぶよカルテット』はラノベ的ウケは良いタイプの設定/作劇でしたが「出来はよいけどそれだけ」な感じでコンパクトな良作の風情。対して『放課後トゥーランドット』はヒロインの自己探求が作者の自己探求と重なり、それが「作中作」たるオペラ『トゥーランドット』の作成という物語自体のプロットとも重なって……。

『ぶよぶよカルテット』は読みたい作品で、『放課後トゥーランドット』は書きたい作品、みたいなイメージを受けました。

『ぶよぶよカルテット』より書き方は荒くなってしまいましたが、より心に来て。

続編も出るみたいですし、今後にも期待。

*1:紅天女』的な意味で

*2:凸凹騎士と最強王女 (メガミ文庫)プリンセスは誘拐中 (美少女文庫)短い期間で連続して刊行されてるのですからリメイクというよりも「引き出しが少ない」とでも言われかねないですが、著者の他社での作品はこうではないのが多いですのでこれは意図してのものだと思う

*3:とはいえ「サティはサティの真似をしない」ですので「サティの真似」してるヒロインは(現実で考えると)天才でもなんでもないわけですが

*4:これで「ヒロインは理事長の娘」とかのラノベ的ご都合主義を付けていればもう少し説得力、というか「納得力」は付いたんでしょうけれども、そういうのまで端折って問題を「ヒロインの性格」に集約しています