ラノサイ杯での新訳の扱い

開催期間中に運営の決定を批判するのはアレなので手控えていたのですが、無事結果も出たようですのでひとこと。
ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
翻訳書は「原著作者 + 翻訳者」の共同著作物なので、翻訳者が違う場合*1は別物として扱った方が無難かと。

今回の「ハローサマー、グッドバイ」のような場合はまだしも、たとえば「三国志演義」なんかだと羅貫中による*2原作を素直に翻訳したのもあれば吉川英治陳舜臣のもののように翻案と言っていいものまで色々とありますし。

Stake That (A Blood Coven Vampire Novel)ヴァンパイア・キス―レインの恋 (ルルル文庫)
また「初翻訳を新規、新訳を既存扱い」するとなると原書が出た時点でラノサイ杯に投票可能*3という事と整合性が取れなくなるという問題も。

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
文芸の場合は技術書などと違い訳者によるニュアンスの違いが重要な作品の色となっている場合が多いので、そこらへん評価に入れるためにも「翻訳書は原著者+翻訳者の組み合わせで新作既存を判定」するようにした方がいいかと思います。

*1:もちろん明確に前翻訳者の仕事を踏襲していると明記されている場合は別だけれども、その場合は共同翻訳者として併記されているはず

*2:というのが定説

*3:ラノサイ杯投票対象には「日本語で書かれた」などという制約は課されていないので、海外の YA Novel だろうが日本のライトノベルの外国語訳だろうが投票対象に含まれることになる