あまがみエメンタール

瑞智士記祭り第二弾! 甘ロリあまがみエメンタールだよ。*1

あまがみエメンタール (一迅社文庫 み 3-1)

あまがみエメンタール (一迅社文庫 み 3-1)

百合、というよりも女性向けBL のノリを女性キャラ使って男性向けGL として描いてみました的な――
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普通にイメージされるであろう百合も途中に出てくるサブキャラ二人との関係として出て来はしているのですが、それはむしろ主人公二人の関係の特異さを強調するための対比としてでしかなく。

『幽霊列車とこんぺい糖』に続く青春小説第2弾です。

http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/01/post_4dd2.html

と著者blogにはありますし、実際ヒロイン二人の関係と性格が

  1. 母親役常識人の視点キャラ(ミサっち/ココ)
  2. 幼児的エキセントリック相手役(リガヤ/リコ)

と同一構成*2ではあるのですが
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どちらの作品でも終盤にくる「死」に関するアレによるそれが『あまがみエメンタール』では『幽霊列車とこんぺい糖』ほどの鮮烈な「目覚め」としては描いておらず、オチは予定調和的。『幽霊列車とこんぺい糖』が相手役ヒロインの目覚める話、であるならこちらは相手役ヒロインが目覚めた……と思ったら違ってたぜ! むしろ目覚めさせないよう視点側ヒロインが努める話だぜ! てな具合。なので対比的に見るべきシリーズです。
戦場のライラプス (トクマ・ノベルズEdge)
この単性生殖的連鎖関係*3というのも(男女恋愛のパロディーではない)「BL的百合」としては王道でしょうからこの話のぼんやりぐあいも正解ではあるのでしょうが……正直『戦場のライラプス』の後に読むのとしては期待外れ*4ではありました。

主人公たちの心理の「提示」だけで話が終わっちゃったというか。そして連作短編ということで浸りこみできる程の耽美密度は無い*5ですし。

次は同じ連作短編形式でも『幻想症候群 (一迅社文庫 に 2-1)』みたいな感じに毎回登場人物変えてやるようなのにチャレンジしてもらいたいです。(というよりも『熾天使たちの5分後 (富士見ミステリー文庫)』雑誌掲載版みたいな感じに、と言うべきか)
screenshot

  1. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2008/12/post_0fd5.html
  2. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2008/12/post_038e_1.html
  3. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/01/post_4dd2.html
  4. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/01/post_c05c.html
  5. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/02/post_485d.html
  6. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/02/post_4dd2.html
  7. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/02/post_cce3.html
  8. http://ta-eis-heauton.blog.ocn.ne.jp/konouta/2009/02/post_10cb.html

screenshot



とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)
それはさておき。これ読んでいて、この「ココ/リコ」の関係って『とらドラ!』での「みのりん/大河」の実乃梨の性格を竜児に置き換えてしまったら……の if としても読めるな、なんて考えてしまい……実乃梨のあれもオチがこうなっちゃうことを恐れての「逃げ」として見るならばいたしかたなくはありますね。実際「大河/竜児」のカップリングでは悪化して行くばかりなわけだし。(『とらドラ!』というのは元々そういう話、というかそれをこそ描く話だからそれはそれでいいんですが)

*1:第一弾は→戦場のライラプス - つちのこ、のこのこ。(はてな番外地)
第三弾「リビングデッド・ファスナー・ロック (ガガガ文庫)」は入手はしてあるけどこれから読む

*2:2作で身長の関係は入れ違ってますね

*3:主人公二人のみならず母親とのそれでも

*4:直前に読んだ『放課後の魔術師』2巻や、『パララバ』なんかと比べれば数段読み応えはある作品だとは思うのですが、この作家に対する期待値が高くなっちゃってたので

*5:というかこの作家の特性として「乾いた描写」なのでそっち方面にはそもそも向いてない